【感想】『大迫傑 走って、悩んで、見つけたこと。』

書籍
スポンサーリンク

マラソンランナー・大迫傑選手の著書『大迫傑 走って、悩んで、見つけたこと。』を読みました。

大迫傑選手は2019年9月14日現在の男子マラソン日本記録保持者であり、9月15日に開催されるマラソングランドチャンピオンシップの大本命として、2020年の東京オリンピック男子マラソン代表の内定獲得、そして本大会での活躍が期待されている選手です。

この本では大迫選手のこれまでのランナー人生を送られてきた中で取り組まれてきたこと、考えてきたことをもとに、大迫選手のマラソンや人生に対する価値観や考え方について書かれています。

マラソンやランニングをやっている人にとって走ることへの参考になるのはもちろん、多くの人において人生で大切なことを学べます。

「自分で決める」

大迫選手は本の中で一貫して「自分のことは自分で決める」ということを伝えられています。

僕は幼いときから、両親に「最終的に自分のことは自分で決めなさい」と言われてきました。高校を選ぶときには、親だけでなく、中学の先生からも「自分の目で見て、自分で決めなさい」と言われました。それが結果的には良かったと思っています。

学生のとき、入学した頃は僕と同じぐらいの実力だった選手がいました。その選手は判断を絶対に誰かに仰いで、失敗すると「あの人がこう言っていた」と文句を言うばかりでした。それでは成長はしません。

どんなに正しいと思うことでも、自分の中で少し距離を置いて、客観視することが重要

自分で決めて行って得たものは、必ず自分の経験値として積み重ねられます。また自分で決めたことで良い結果が得られたら、大きな自信の構築につながります。

他人から言われたことを行って良い成果が得られても、自分の身になりにくく、自信につながりにくいもの。また失敗したら、その他人のせいにする。それでは自分は成長しない。とても納得できる考え方です。

巻末に大迫選手へのQ&Aがあるのですが、一般の方からの「どんなトレーニングをすればよいですか?」、「どんな筋トレがおすすめですか?」といった質問にはほとんど回答されていません。一人ひとり必要なトレーニングが違うということもありますが、あえて明確な回答をしないことで、本人に考えて決めさせるということに導いているように思いました。

「きつさを分解する」

マラソン練習時の考え方として「きつさを分解して考える」ということも伝えられています。

練習をしていると「きつい」と感じることがあると思います。ちょっと変だと思うかもしれませんが、僕はそんなとき頭と体を別々に考えるようにしています。きついと感じているのは脳であって、身体ではない。だから身体には出さないようにと意識する。表情ひとつとっても、顔はなるべくリラックスした状態をキープして、思考と身体を切り離す。そうすると単純に力みがなくなって、努力値で少しタイムが良くなったりするんです。(中略)「今きついのはどこ? 呼吸? 脚? 脚のどこ?」そう問いかけると体全体がきついわけではないと気づくので、少し楽になるんです。

仕事においても「問題」が発生したときに「分解して考える」ということは大切です。

「売上が上がらない」という問題に対して、新規顧客数が少ないのか継続顧客が少ないのか、商談設定件数は足りているのか、商談中に聞くべきことは聞けているのか、適切な提案はできているのか、など問題を解決するために必要な課題に分解し、課題に取り組んでいくことが大切です。

仕事でより大切にしていくとともに、マラソンのトレーニングでも取り入れたい考え方です。

「『今』に集中し、『今』やるべきことをやる」

大迫選手は今、この瞬間の大切さについても書かれています。

一番難しいのは自分が走ることについて、やるべき理由を探して、それに向かってちゃんと集中するということ。

当たり前のことですが、結果というのは結局今の積み重ねでしかありません。ときには一生懸命やっても結果が出ないこともあります。だからといってやらなかったら、絶対にできないままです。だから、やっていくしかないんです。

練習においても、きつさにおいても”今”に集中して考えるということは、レースにおいてもすごく重要になってきます。そして、そうやって瞬間瞬間を大事にトレーニングしていると、毎日毎日自分に勝つことに対しての価値を見いだせるようになるんです。

きちんと今を積み重ねていれば、レースの直前に自分を信用することができます。

自分がやるべきことをすべてやっているので、スタートラインに立ったときはいい意味で開き直った状態です。レースが良くても悪くても、ここまで妥協なくやってこれたというスタートラインに立った達成感があるんです。

これもマラソンだけでなく、仕事や人生においても通じます。

自分がやりたいこと、成し遂げたいことは何か。それをやりきる、成し遂げるためには、今この瞬間、何をすべきか。そのやるべきことを積み重ねていくことでしか達成できないと伝えられており、とても納得できます。

この他にも怪我や故障との付き合い方、ライバルをリスペクトすること、マラソンにおけるメンタリティなど、参考になる事が多く書かれています。

「自分で決める」、「きつさを分解する」、「今に集中してやるべきことをやる」。これらを積み重ねていくことがどれほど大変かは想像に難くなく、それをやり続けていることこそが大迫選手の強さの源であると実感することができました。

『走って、悩んで、見つけたこと。』(大迫傑・著)